住まいの建築中にも有効な建築中の住宅検査としてのホームインスペクション
ホームインスペクションという言葉を聞いた方のなかには、中古物件や新築物件でも完成済みの建物に対して利用するものだという印象を持つ方もいます。確かに、既存の建物に対してホームインスペクションを入れる方が多いのは事実です。
しかし、これから新築しようとする住宅に対してホームインスペクションを利用するのも賢い利用方法です。着工してから建物が完成するまでの間に、何度か検査をするわけです。アネストでは、5~11回ぐらいの建築中の住宅検査を利用する方が多いです。
適切な検査回数は、工法や建物の規模(面積)、工程などによって異なるものです。また、施主(または買主)の考え方、心配している点によっても異なります。ただ、住まいの建築中に利用する住宅検査としてのホームインスペクションはなかなか有効なものですから、これから住まいを建築する方は検討する価値があるでしょう。
完成物件では見られない建物の範囲を第三者の建築士にチェックしてもらえる機会は、建築時のみです(既存建物を解体して検査するのであれば別ですが、そこまでされる方はなかなかおりませんね)。
たとえば、基礎です。基礎コンクリートの表面は既存物件でも確認できますが、コンクリート内部の鉄筋(配筋)の施工品質は建築中でないと確認できません。使用されている鉄筋の径(直径)、鉄筋と鉄筋の間隔(ピッチ)、かぶり厚の確保、定着長さなどはいずれも重要な検査項目です。
ところで、住まいを新築するときには、建築基準法に基づいた検査が現場に入ります。その他にも、瑕疵保険に加入するための検査や住宅性能評価のための検査が入ることもあります。これらは建築中も検査が入っています。これらも「一応は」第三者の立場として検査に入っています。
それだけの検査があるのであれば、何も施主や買主がホームインスペクションを建築中に利用する必要がないのではないかと質問を受けることも少なくありません。
しかし、上にあげた検査は、残念ながら欠陥工事を無くし施工品質を心配ないレベルで保つだけの検査をしてくれてはいません。いつになっても住まいの欠陥工事がなくならないことで明白です。「住宅 欠陥 ブログ」などで検索すれば、被害者の方が多くの情報を載せています。また相談機関への相談件数も増える一方です。
欠陥に遭遇する確率を下げ、施工品質をあげていくには、第三者のホームインスペクション(住宅検査)を利用することが良い対策になるのは経験からわかっています。また、検査回数がその確率に影響を及ぼすこともわかっています。
建築中の新築住宅にもホームインスペクションは有効であることは、理解しておいた方がよいでしょう。