ホームインスペクターとは?住宅購入に役立つインスペクションのメリット・費用や選び方

ホームインスペクターとは?

住宅の購入や新築に際して利用されるホームインスペクションを行う専門家が、ホームインスペクターです。住宅購入のタイミングで関わる人が多くなりましたが、まだまだ詳しく知らない人も多いです。

住宅購入の成否に影響しうるホームインスペクター選びのため、その役割や重要性、選び方、費用相場、依頼するタイミング、今後の需要などについて解説します。

ホームインスペクターとは?その役割と重要性

ホームインスペクターの役割と重要性

ホームインスペクターについて、基本的なことを理解するために、仕事の内容と必要性について紹介します。

ホームインスペクターの基本的な仕事とは?

ホームインスペクターの主な仕事内容は、住宅の状態を専門的に調査し、客観的なレポート(調査報告書)を作成・提出することです。

具体的には、屋根や外壁、基礎、水周り設備、建具・サッシなど、建物全体をチェックして施工不良や著しい劣化などの問題点を洗い出します。ホームインスペクターは第三者的な立場で診断を行うため、公平で信頼性の高い情報を提供するできる点が特徴です。

ホームインスペクターが行う建物の調査は、ホームインスペクションというサービスですが、このサービスは、住宅購入のリスクを減らし、安心して取引を進めるために欠かせないサポートとして、多くの人に利用されています。

なぜホームインスペクターが必要なのか?

ホームインスペクターが必要な主な理由は、以下の4つにあります。

  • 住宅購入前のリスク抑制
  • 建築時の施工不良の抑制
  • 修繕すべき箇所の把握
  • 中立的な第三者の意見を聞く

これら4点について、以下で補足説明します。

住宅購入前のリスク抑制

住宅を購入する際、その売買取引に関わる不動産会社の営業担当者は、建築知識が不足している人の方が多いです。不動産取引と建築に関わる知識は専門分野が異なるという考えの人が多いことがその要因になっています。

つまり、建築のプロが関わらないまま高額な売買をするのはリスクが高いです。ホームインスペクターに診てもらうことで、このリスクを抑制する効果が期待できます。

建築時の施工不良の抑制

住宅を新築する際には、確認審査機関などの現場検査があるものの、部分的に短時間の確認しかしないため、欠陥工事が無くなっていません。自分でホームインスペクターに依頼することで、このリスクを抑制することができます。

修繕すべき箇所の把握

永くマイホームに住み続けるためには、早めに点検して、適切な補修・修繕工事をすべきです。そのためには、修繕すべき箇所を把握する必要がありますが、ホームインスペクションにはその効果が期待できます。

リフォーム業者に確認してもらって修繕箇所を提案してもらう方法もあるものの、この方法では、リフォーム業者から不要な工事を提案されても気づかないというリスクがあります。第三者のホームインスペクターなら、そのリスクは低いと言えるでしょう。

中立的な第三者の意見を聞く

「修繕すべき箇所の把握」で少し述べたように、リフォーム業者から不要な工事を提案される可能性がるため、中立的な第三者の意見を聞くことは大事ですが、同じことが住宅売買や新築工事の際にも言えます。

売りたいと考えるハウスメーカーや不動産会社が入れるホームインスペクションよりも、買主が自分で入れるものの方が、信頼性が高いことが多いですし、買主としても安心感が高いです。

新築建売のホームインスペクション

ホームインスペクションの依頼なら

第三者の一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)は、住宅売買・メンテナンスなどに役立つ専門的な技術サービスです。施工不具合や補修すべき劣化事象の有無をプロに診てもらえる。

ホームインスペクターの選び方

ホームインスペクターの選び方

実際に、住宅購入するときなどのタイミングで、どのホームインスペクターへ依頼すべきか迷う人は多いでしょう。そこで、ホームインスペクターの選び方を紹介します。

一人でしている人より複数のホームインスペクターがいる組織がオススメ

建築知識・情報は、非常に幅広いです。多くの建物が存在し、様々な症状があるため、それら全てを一人か二人だけの人数で経験することは現実的ではありません。多くの専門家が、それぞれの経験を持ちより、データ共有できる仕組みが非常に重要です。

そういう意味で、ホームインスペクションを依頼するときは、その業者に所属するホームインスペクターの人数が極端に少なくないかどうか、確認しましょう。お勧めは、最低でも5人以上の組織であることですが、できれば10人以上の組織がおすすめです。

資格は要チェック(建築士と既存住宅状況調査技術者)

ホームインスペクターやこれと類似する言葉を使った資格がいくつもあります。講習を受講して簡単な試験で取得できるものもあり、それほど真剣に学習などに取りくまなくても取得できるものが大半です。よって、資格に強くこだわりすぎる必要はないですが、必要最低限のものがあります。

それが、以下の2つです。

  • 建築士(できれば、一級建築士がよい)
  • 既存住宅状況調査技術者(中古住宅の場合は必須)

新築であれば、建築士の資格だけでも大丈夫です。あとは、検査実績やノウハウがある組織からしっかりサポートされているかどうかです。ただし、建築士にもランクがあり、できれば最上位の一級建築士に依頼しましょう。全ての一級が二級建築士より優れている保証はないですが、可能性は高いです。

既存住宅状況調査技術者は、中古住宅のホームインスペクションを依頼するときには、保有しているかどうか確認してください。建築士であれば、講習を受講すれば誰でも取得できるものなので、難易度は低いです。

しかし、既存住宅状況調査技術者であれば、国土交通省の告示による基準に基づく調査以上のことはしてくれることの確認ができます(中古住宅の売買時に利用する場合)。

報告書のサンプルを確認しよう

多くのホームインスペクターは、診断後に提供する報告書のサンプルをホームページで公開しているので、確認してください。公開していない場合は、提示するように求めましょう。提示しれくれないようならば、その業者は避けておく方が無難です。

報告書は、後から調査結果を確認することで、修繕・リフォーム・交渉などの重要な参考資料となります。手抜きの簡単な報告書ではなく、多くの情報が細分化されて掲載されているかどうか確認が必要です。複数社の報告書を見比べるとよいでしょう。

ホームインスペクションの費用相場と依頼するタイミング

ホームインスペクションの費用相場

ホームインスペクションを依頼する上で気になる費用相場と依頼前後のスケジュール感について紹介します。

一般的な料金(費用相場)の目安

プロのホームインスペクターに、建物面積が100平米程度の住宅で床下および小屋裏(屋根裏)の調査まで依頼すると、9万~13万円前後の費用がかかります。遠方の物件の場合の出張料・交通費は別途です。

これよりも安い場合は、前述の「ホームインスペクターの選び方」に記載した要素のいずれかが抜けている可能性がありますので、注意しましょう。

診断のタイミングと予約の流れ

ホームインスペクションのタイミングの優先順位は以下のとおりです。

  • 住宅の購入前または建築途中
  • 契約後・引き渡し前
  • 引き渡し後・入居前
  • 入居後

特に売買契約の前のタイミングで利用することを優先しましょう。購入前の診断で著しい施工不良や劣化事象がいくつか見つかれば、購入を中止したいと考えることもあるからです。

新築建売のホームインスペクション

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第三者の一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)は、住宅売買・メンテナンスなどに役立つ専門的な技術サービスです。施工不具合や補修すべき劣化事象の有無をプロに診てもらえる。

ホームインスペクターの今後の需要

ホームインスペクターの需要

ホームインスペクションが最も多く利用されるのは、住宅を売買・新築するタイミングです。そのため、住宅の売買・新築市場の動向によって、需要が大きく異なることになります。

新築工事費用が高くなってきたことや、古い物を活かそうという考え方が普及してきたこと、既に既存住宅が多く存在することなどの理由により、新築住宅より中古住宅の取引が増えていく可能性が高まっています。

それだけに、ホームインスペクターの仕事は、中古住宅の売買市場でこそ大きく増えていくことが予想されます。

中古住宅に対する消費者の不安は、新築より大きいこともあり、今後、ホームインスペクターの役割が大きくなり、重要性が増していくと考えらます。

まとめ:ホームインスペクターを上手に活用して安心できるマイホーム取得を

既に多くの人がホームインスペクターに診断依頼しており、住宅の売買や新築の際に活用されていますが、住宅市場の健全化と活性化のために、より一層の活用が必要です。多くの人が、今よりも安心してマイホームを取得できる社会にするには、インスペクションは必要不可欠なものです。

日本では、住宅というものは、購入後、価値が下がっていくことが当たり前とされてきましたが、建物の価値の維持・安定化を図ることで、個人の資産安定につながり、ライフスタイルの変化に応じて買い替え、住み替えをしやすくなります。

ホームインスペクターの仕事は、そういう社会の形成に貢献できるはずです。

執筆者

アネスト
アネスト執筆担当
住宅購入や新築、リフォーム時のホームインスペクション(住宅診断)を行うアネストが執筆、監修している。
アネストのホームインスペクション

全国で第三者の一級建築士がホームインスペクション(住宅診断)を行うアネスト。新築・中古住宅の購入時やメンテナンス時などに建物の施工ミスや劣化事象の有無を調査することができる。