内覧会を自分で乗り切るために知っておくべき当日の所要時間の真実と持参物

内覧会

新築の戸建てやマンションを購入・建築した人にとって、その建物の完成後・引き渡し前に行う内覧会は、住宅購入プロセスの中でも重要なイベントとなっています。初めて経験する内覧会だけに、内覧会とは何?とか、準備すべきものがあるか?どれくらいの時間がかかるのだろう?といった疑問が多いようです。

初めての内覧会で失敗しないため、内覧会の基本的な知識として何をする機会なのか、所要時間の本当のこと、内覧会までに買主が用意すべき物について解説します。

できれば、内覧会の2週間以上前までにはこれを読んで理解しておきたい知識です。この時期は、住宅ローンの決済の準備や引っ越し業者の手配、家具・家電の買い替えのことなど、やるべきことが多くて大変な時期ですが、内覧会の対策もしっかりやっておきましょう。

内覧会とは何をする機会?基本のおさらい

内覧会とは

新築住宅における内覧会とは、完成した建物の状態を施主または買主がチェックする機会と、ハウスメーカーや建築家などが見込み客にモデルハウスのように見学してもらう機会という2つ意味を持っています。

ハウスメーカーや建築会社などから内覧会という言葉を聞いた場合、どちらの意味で話している確認するとよいでしょう。

ここでは、前者、つまり、「完成した建物の状態を施主または買主がチェックする機会」について解説しています。

内覧会とは竣工検査である

ここで説明する内覧会は竣工検査のことです。出来上がった建物が、契約した通りのものであるか、施工不具合がないかなどを現地で施主(建売住宅なら買主)がチェックする機会です。このときに見つけた施工不具合などは、その場でハウスメーカー等へ指摘して補修をお願いすることになります。

そして、補修後の状況も現地で再確認する必要があります。

引き渡し前の大事なイベント

この内覧会は、一般的には、建物完成後で、かつ引き渡しと最終決済の前に行います。引き渡し後でも、明らかに施工ミスによるものは補修対応してもらえることが多いですが、対応の良し悪しに差異があったり、対応が遅れ気味なったりするケースが確認されており、引き渡し前に行うことの重要性が高いことを示しています。

引き渡しの前後で対応が変わってしまうことがあるのは、残念なことですが、住宅業界ではよくある現実ですので、注意してください。

しっかり準備し、時間をかけて乗り切るべき

この大事な内覧会ですが、準備と当日の所要時間という2点については、特に気をつけてください。

準備とは、内覧会で施主や買主が何をすべきか理解することと、必要な物を用意して持参することです。また、時間をかけるとは当日の所要時間のことです。施工不具合などをチェックするために必要な時間をかけて確認するということです。

この所要時間と当日の持参物については、これ以降で詳しく解説します。

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内覧会の所要時間の真実

内覧会の所要時間

内覧会では、建物の状態をチェックするわけで、且つ、自分たちだけでは建築関連の知識や経験がほとんどないということが一般的ですから、どれくらいの時間がかかるのか予想しづらい人が多いでしょう。そこで、一般的な時間に関する知識をここで学んでおいてください。

たったの30分?販売会社・建築会社からの案内に固執してはいけない

販売会社(不動産会社)や建築会社から、内覧会の開催案内があったとき、「所要時間は1時間です」などと時間を指定されることがあります(指定されないこともあります)。そして、その所要時間が、45分とか30分と短い時間で指定されてしまうこともあります。

これを聞いた人は、「え?たった30分や45分でチェックなんて、できるの?」と疑問を持つことでしょう。

何も準備せず、細かくチェックもしない人なら、それくらいの時間で終えてしまうこともあるのですが、きちんと施工不具合の有無を確認しようとすると、そのような短時間でチェックを終えるのは不可能です。

販売会社などから言われた時間は絶対ではないので、固執する必要はありません。

必要な時間とプロに同行依頼したときの所要時間

実際に、内覧会に必要な時間はどれくらいでしょうか。

建物の規模などの条件にもよりますが、以下を目安としてください。

内覧会に必要な時間(自分で対応する場合)

  • 新築マンション(専有面積:70平米) 1時間~1.5時間程度
  • 新築一戸建て(建物面積:100平米) 1.5~2時間程度

ただし、これは買主が自分たちだけで乗り切る場合の所要時間です。

第三者のプロに同行依頼(これをホームインスペクションや内覧会立会いと呼ぶ)した場合は、もっと詳細な調査をするため、以下が目安となります。

内覧会に必要な時間(ロに同行依頼する場合)

  • 新築マンション(専有面積:70平米) 1.5時間~2時間程度
  • 新築一戸建て(建物面積:100平米) 2~2.5時間程度、床下・屋根裏の調査を付けると3~4時間程度

こうして実際にかかる時間をみると、30分や40分では全然足りないことがわかりますね。

時間は意外と簡単に交渉できる

販売会社や建築会社から案内された時間が短すぎる場合、時間の延長ができるか気になりますよね。

基本的には時間の延長は可能です。ホームインスペクションを2004年から実施しているアネストによれば、依頼者が販売会社などへ時間延長のお願いをして拒否されるケースは、ほとんどないとのことです。

ただし、内覧会の当日に時間延長を伝えても立会いする担当者の後ろの予定があって難しいこともありえるため、事前に伝えておくようにしましょう。新築マンションにおいては、当日でも時間延長できることが多いですが、念のため、前もって伝えておく方が望ましいです。

新築一戸建ての場合、担当者によっては、時間延長への反応や対応が良くないケースも報告されています。それでも、簡単に受け入れず、粘り強く交渉すれば、承諾を得られることが一般的です。一戸建ては時間が長くかかりがちなので、プロに同行依頼する場合は、以下のような流れで調整するのも有効な方法です。

内覧当日のスケジュール例

  • 9:30 不動産会社や建築会社が開錠しチェック開始(不動産会社側は一度退席)
  • 13:00 不動産会社や建築会社が現地へ再合流し指摘事項の伝達

所要時間はしっかり確保して、内覧当日に適切に対応できるようにしておきましょう。

内覧当日に後悔しないために準備すべき持参物

準備すべき持参物

内覧会の当日、現地でスムーズに、そして適切にチェック作業を進められるようにするためには、事前の準備と当日の持参物が大事です。これを疎かにしていると、後悔することになります。

事前の準備

内覧当日の前までに準備しておくことは、この記事で内覧会のことを理解しておくことと、チェックポイントを把握しておくこと、そして当日に持参すべき物を用意しておくことです。

チェックポイントは、以下が写真付きでとても参考になるので、おすすめの記事です。

当日の持参物は次に紹介しています。

内覧当日の持参物

内覧会の当日は、以下の物を持参してください。

  • メジャー
  • スリッパ
  • デジタルカメラ(またはスマホのカメラ機能)
  • 脚立
  • メモ帳・筆記用具
  • 間取図
  • チェックリスト
  • マスキングテープ・付箋

これらについて、持参する目的などについて紹介しておきます。

メジャー

メジャーは、家具・家電などを設置する場所の採寸などに使います。内覧会とは別の機会に採寸をすることもあるので、臨機応変に対応しましょう。たまに、発注内容と現地でサイズの違いが発生しているので、そういった確認にも利用できます。例えば、カウンターのサイズなどです。

スリッパ

スリッパがないと季節によっては足裏が冷たくて大変です。また、内覧会の時点では清掃が十分ではなく、木屑などが落ちていることもあるので、防護や汚れ防止のためにも必要なものです。ただし、不動産会社やハウスメーカーが使い捨てスリッパを用意してくれていることもあります。

マスキングテープ・付箋

指摘箇所や建築会社に何らかの確認を求める箇所について、後で場所を忘れないようにマスキングテープや付箋があると便利です。建築会社がマスキングテープを用意してくれていることもありますが、無いと不便なので、自分でも用意しておくとよいでしょう。

デジタルカメラ(またはスマホのカメラ機能)

施工不具合などを見つけたときの記録用にカメラがあると便利です。あとで何を指摘したか思い出すときに写真が役立ちます。補修後に、現地で再確認する際に見比べることもできます。指摘箇所にマスキングテープを貼りつけてから撮影するということもできます。

脚立

高めの箇所を確認するときに脚立があると便利です。天井点検口の内部を覗いて確認する際には、脚立が無いと難しいでしょう。天井高さと自分の身長を考慮して用意する脚立のサイズを考えましょう。居住してからも、照明器具のメンテナンス・掃除などにも使えるので、お持ちで無い人はこの機会に購入してはいかがでしょうか。

大きな脚立が必要な高さの場合、事前に建築会社に準備しておいてもらえないか相談するのもよいでしょう。快く対応してもらえることも多いです。

メモ帳・筆記用具

現地で指摘したことや、建築会社側と打合せ内容などについて、記録できる準備をしておきましょう。もちろん、メモ用紙などの代わりにスマホやタブレットでもよいですね。最近は、スマホのアプリで録音している人もいます。

間取図

間取図は、指摘事項などについて、後で確認用にメモしておくために便利です。指摘事項の補修後の確認の際に、場所がわからなくてチェックできないということがないようにしたいです。例えば、間取り図に数値を記入し、その数値の内容詳細をメモ用紙などに記録するということもできます。

チェックリスト

そもそも何をチェックすればよいかわからないという人も多いでしょう。慣れない内覧会では当然のことです。そこで、事前にチェックリストを用意しておくことをおすすめします。チェックリストは、前述の関連記事が良い参考になるのでご覧ください。

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まとめ

内覧会の基本的な知識と当日の所要時間や事前準備・持参物の大切さと、それぞれの詳細について説明してきましたが、理解できたでしょうか。

家を何度も買うことがないように、内覧会も何度も経験することではありません。しかし、ここで失敗すると入居後のトラブルにつながることもありますので、しっかり対応しておきたいところです。特に所要時間では、販売会社側の言うことを聞いているだけでは、大事なチェックをできないことになりますので、注意してください。

執筆者

アネスト
アネスト執筆担当
住宅購入や新築、リフォーム時のホームインスペクション(住宅診断)を行うアネストが執筆、監修している。
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全国で第三者の一級建築士がホームインスペクション(住宅診断)を行うアネスト。新築・中古住宅の購入時やメンテナンス時などに建物の施工ミスや劣化事象の有無を調査することができる。