内覧会はタイミングが重要。引き渡し日の3日前ではなく、10日以上前がオススメな理由

新築の一戸建て住宅を購入すると、建物完成後・引き渡し前のタイミングで内覧会という完成検査を行う場があります。この内覧会と引き渡し日の間にゆとりがないと、補修工事が間に合わない、引き渡しや引っ越し前に工事が最後まで完成しないなどのトラブルに合うことがあります。
このトラブルを回避するために大事な内覧会の開催日と引き渡し日の間に十分な期間を設けること、トラブルに巻き込まれたときに大事な交渉力のついて説明します。
新築物件の内覧会とは?
新築物件の内覧会とは、新築住宅の購入者が完成した住宅を実際に現地で確認できる機会です。一般的に、引き渡し前に実施され、建物の構造や設備などに施工ミス(不具合)がないかをチェックする重要な機会となります。
内覧会のチェックポイント
構造耐力や性能の問題に関わるような施工ミス、設備の動作状況といった重要なことのほか、大きな傷や汚れといった見た目の問題も指摘して、是正を求めましょう。
ただし、細かな傷や汚れにばかり目がいってしまって、大事な問題を見落とさないように注意が必要です。住み始めたら、傷などはすぐにつくものです。もっと大事な点をチェックするよう心掛けたいものです。
また、注文住宅ならば、注文した通りに建築されているか確認しましょう。これまでに、いろいろな事例が報告されていますので、その一例を紹介します。
発注と異なることがあった事例
- キッチンのサイズが違った
- トイレが発注内容と異なる
- キッチンカウンターの付け忘れ
- フローリングや洗面台の天板の色違い
- 窓の位置間違い
- 点検口の設置漏れ
このように、普通に起こらないようなミスが、実際の現場で見つかっています。しっかり見ておきたいですね。
内覧会にはプロの同行が効果大
内覧会では、施工上のミスの有無を確認して、問題が見つかれば、指摘して是正してもらわなければなりません。しかし、サイズや色の違いと違って、構造や性能に関わる施工ミスの確認は一般の人には難しいところです。
たとえば、見つかった基礎のひび割れが建物構造に影響があるレベルのものか、そうではないかものか、その場で判断できる一般消費者はなかなかいないですね。
こういったことをプロに任せられるサービスが、内覧会同行サービスです。建築知識・経験があり、検査業務の研修・経験を積んだ上で、所定のマニュアル・チェックリストを活用して、診断してくれる建築系の専門サービスです。基本的には建築士が対応してくれます。
建築士を味方にして対応できる機会は、そう多くないですが、住宅を購入するときは大きな投資をする機会でもあるので、利用を検討するとよいでしょう。
ちなみに、プロの内覧会同行サービスは、ホームインスペクションとも呼ばれています。
内覧会のタイミングは引き渡し日の10日以上前が理想
新築の内覧会では、施工ミスなどを指摘して、その是正工事をしてもらうものだと説明しました。この内覧会では、しばしばその実施時期が問題になりますので、その点を解説します。
引き渡し日の3日前では遅すぎる
内覧会で見つけた施工ミスなどを是正対応してもらうわけですが、是正後の状況に問題ないかどうかもチェックしなければなりません。つまり、内覧会の開催日と引き渡し日の間には、以下の2つの重要なプロセスがあるわけです。
- 是正対応(補修工事)
- 是正後の再チェック
内覧会で見つかった問題にもよりますが、是正対応を2~3日で終えられないことはよくあることで、1週間くらいかかっていることもあります。補修業者の手配をいつできるか、補修の難易度や手間といった条件に左右されることだけに、内覧会を実施してみないことには、引き渡し日までに必要な期間を明確に判断することは難しいです。
10日以上前が理想のタイミング
それでは、是正対応と是正後の再チェックのために、どれくらいの期間をみておけばよいのでしょうか。
前述したように、状況によって左右されるので、確実な期間を出すことは難しいですが、一般的には1週間以上あれば事足りることが多いです。それに少しゆとりをプラスして10日以上を理想のタイミングだと考えてよいでしょう。
引越し日までのゆとりをみよう
内覧会と引き渡し日の間の期間は大事なものですが、本当はそれだけではなく、引越し日も含めて考えるべきです。
- 建物の完成
- 内覧会
- 是正対応
- 是正後の再チェック
- 引き渡し
- 引っ越し(入居)
建物の完成から入居までにあるこの6つのステップのスケジュールをよく確認しておきましょう。
たとえば、内覧会と引き渡し日の間が1週間で、引き渡し日から引っ越し日まで1カ月もあるなら、内覧会で大きな問題が見つかって、一般的な住宅よりも補修工事などで日数がかかったとしても、引き渡し日を延期さえすれば対応できますね。
引き渡し日に決済(住宅ローンの借り入れと残金支払)をすることも多いですが、施工上の問題で延期するなら、施工会社も延期要求をのまざるを得ないでしょう。
つまり、建物の完成から引っ越しまでの全体スケジュールにゆとりがあるなら、途中のイベントについてはある程度は調整することで対応できるということです。
スケジュールにゆとりがないときは交渉力が大事
ここまで読んできた人の多くは、ゆとりあるスケジュールを組んで、マイホームへの入居をしようと考えると思います。しかし、想定以上に工事が遅延してしまい、十分なゆとりをみていたにも関わらず、スケジュールが厳しくなることもあります。
今は、工事が大幅に遅れるのは当たり前のようになっていて、思うように事を進められなくなっています。
もし、あなたの住宅において、工事遅延などにより、引渡しや引っ越しまでのスケジュールが厳しくなったとき、あなた自身の交渉力が非常に重要になってきます。
- 工事を丁寧かつ急いでもらう
- 引き渡し日の延期に応じてもらう
- 引っ越し代のキャンセル料・追加料金の負担をしてもらう
- 引き渡し後の補修工事の約束を書面で取り付ける
- 残代金の支払い時期を変更する
その時の状況・条件に応じて、適切な対応方法を判断した上で、その実現のためにハウスメーカーや不動産会社としっかり交渉する力が必要ということです。
この交渉には、普段の仕事で営業慣れしているというわけでは難しい部分もあります。適切な対応方法を判断するには、知識が必要だからです。そこまでイメージした上で、できるだけゆとりあるスケジュールを組み、トラブルに合わないように対策をとっておけるといいですね。
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