ホームインスペクションを意味が無いと言う不動産会社・工務店を信用して後悔するな

ホームインスペクションは意味が無い?

住宅を買うときにホームインスペクションを利用しても意味が無いか?調査費用が無駄にならないか?と心配する人は少なくありません。住宅購入で失敗したくないので、インスペクションを絶対に利用するという人も多いです。

どちらの考え方がよいのかわかりづらいですよね。

利用しなくて後悔したという人の声は少なくありませんが、それでも費用がかかることなので、もう少しホームインスペクションのことを理解してから、どうするか判断しましょう。

ここでは、インスペクションが不動産・住宅業界や消費者から注目されている理由や、意味が無いと言う業者の本音、依頼せずに後悔した人の事例(写真付き)、インスペクション業者(ホームインスペクター)選びで大事な3つのポイントについて解説します。

住宅を購入する人や、新築住宅を建築する人、リフォーム・リノベーションを考えている人に参考になる記事になっています。

なぜ今「ホームインスペクション」が注目されているのか?

ホームインスペクションが注目される理由

住宅を買う人や新築する人、リフォームする人にとって、重要なサービスであるホームインスペクションは、消費者からも、不動産業界・建築業界からも注目されています。そのインスペクションとは何か、なぜ注目されているか紹介します。

ホームインスペクションとは何か?

ホームインスペクションとは、住宅の建物部分について、診断のプロであるホームインスペクターが施工不具合や劣化状況の有無を確認する建物調査です。住宅を購入するかどうか検討するときや、修繕工事などのリフォームをするとき、相続した家の状態を把握したいとき、マイホームやアパートを新たに建築するときなどの参考材料などに活用されています。

診断を行うホームインスペクターは、一般的には建築士の資格を持ち、且つ建築業界の経験を活用できる者です。ただし、一部で十分な経験や知識を持っていない人が診断しているケースもあるため、ホームインスペクター選びでは注意が必要です。

ホームインスペクションが注目されている理由

日本では、2000年代に入ってから、ようやくホームインスペクションが普及し始めました。当初は、不動産業界・住宅業界でも知らない人の方が遥かに多かったのですが、近年になってインスペクションを知らない業界人はいないほどになりました。

ホームインスペクションが注目されるようになった背景には、ホームインスペクション業者の営業努力もありますが、インターネットの普及により、住宅購入時のリスク、建物の欠陥に関する情報を多くの人が簡単に入手しやすくなったことで、住宅購入や建築に対する消費者の意識が変化したことがあります。

また、住宅は人生で最も高額な買い物の一つなので、購入してから後悔したくないという強い想いが、意識の変化を高めたと言えるでしょう。

国も中古住宅の流通促進を進めようとしており、住宅の状態・品質を確認する手段の1つとしてホームインスペクションを推奨しています。具体的には、2018年には不動産の売買や賃貸時にインスペクションの説明を行うことが義務化され、一般消費者に情報を伝える機会が増えました。

さらに、利用したことがある消費者が、同僚・友人などにインスペクションの利用を勧めることも増えており、インスペクション業者は、自社のお客様からの紹介案件も増えています。

ホームインスペクションは、このように注目されて、普及してきました。

新築建売のホームインスペクション

ホームインスペクションの依頼なら

第三者の一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)は、住宅売買・メンテナンスなどに役立つ専門的な技術サービスです。施工不具合や補修すべき劣化事象の有無をプロに診てもらえる。

「ホームインスペクションは意味が無い」と言う業者の本音とは?

不動産会社も小規模な工務店や大手ハウスメーカーも注目しているホームインスペクションですが、その不動産会社や工務店などの中には、「ホームインスペクションは意味がない」、「利用する必要はない」、「依頼する人はほとんどいない」と言う人がいます。

意味が無いという説明が事実なのか、なぜそのようなことを言うのか解説します。

ホームインスペクションを有効だと考える不動産会社や工務店が多い

「ホームインスペクションは意味がない、必要ない」という営業担当者は少なくないようです。しかし、実は、不動産会社やハウスメーカーに勤める人が、ホームインスペクションを利用しているケースは非常に多いです。なぜなら、多くの建築トラブル(施工不具合や想定外の劣化)を見てきていて、専門家に診てもらうことの重要性を一般の人よりも知っているからです。

つまり、本音では、インスペクションは必要なのだと考えている人が多いということです。

ホームインスペクションは意味が無いと言う理由・本音

インスペクションは必要だと考えているにもかかわらず、なぜ「意味が無い」などと言うのでしょうか。その理由・本音は、単純です。

インスペクションをすることで、建物の施工不具合や著しい劣化事象が見つかることがあり、それによって、成立しかけていた商談(契約)が破断になることや、施工ミスの難しい是正を求められることなどがあり、その結果として、売上・利益を逃すことや、補修対応の手間とコストが発生することを怖れているからです。

必要だとわかっているのに、自分勝手な考えから「意味がない」「必要ない」などと言うのですから、驚く人もいるでしょう。それがこの業界の実態でもあるのです。もちろん、そういった業者ばかりではなく、インスペクションの必要性を説明している営業担当もいます。

実際にホームインスペクションを依頼せずに後悔した人の事例

ホームインスペクションを依頼せずに後悔した人は多いです。後悔する理由の代表的なケースは以下のものです。

  • 不動産会社が言う「必要ない」を信じた結果、補修すべき症状が見つかった上に、売主の契約不適合責任の期間を過ぎていて、自腹で補修することになった
  • 建築業者が言う「意味がない」を信じた結果、住み始めてから不具合がたくさん見つかった

つまり、後から何らかの施工不具合や想定外の建物の劣化事象が見つかったことで、後悔することになるわけです。そういった施工不具合や劣化事象の一例を写真付きで紹介します。

床の傾き

床の傾き

床の傾斜測定をすると基準値を超える著しい傾きが確認された事例です。

外壁のひび割れ

外壁のひび割れ

外壁で著しいひび割れが確認された事例です。雨漏りするリスクと原因次第では、構造上の影響を考慮する必要があります。

シロアリ被害

シロアリ被害(蟻害)

床下のインスペクションでシロアリによる被害(蟻害)が確認された事例です。被害範囲が広く重度な状況です。

配管貫通部の隙間

外壁の配管貫通部の隙間

配管が外壁を貫通する箇所で、配管周りに隙間が空いている状況です。ここから雨水が浸水するリスクがあります。

外壁の開口部周りの隙間

外壁の開口部周りの隙間

外壁を貫通する開口部の周りは防水上の懸念がある隙間が指摘されることが多く、1つ前の配管貫通部も同種のものです。

床下のゴミ

床下のゴミ

床下の調査で見つかったゴミです。新築工事の際の残材などが清掃されず、そのまま残っている状況です。放置しておくと、将来的にシロアリ被害のリスクがあります。

基礎のひび割れ

基礎のひび割れ

床下の調査で見つかった基礎の底盤部分のひび割れ(クラック)です。新築でも中古住宅でも見つかることがあります。

大引きのひび割れ

大引きのひび割れ

床下の調査で見つかった大引き(構造材の一部)の著しいひび割れです。軽微なものはそれほど心配する必要がないですが、著しいものには注意すべきです。

ここで挙げた事例は、ホームインスペクションで見つかる問題の一部です。同様の指摘事項や他の問題点が見つかる物件は多いですが、こういった事例からもホームインスペクションは意味がないという意見が間違っていると理解できます。

新築建売のホームインスペクション

ホームインスペクションの依頼なら

第三者の一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)は、住宅売買・メンテナンスなどに役立つ専門的な技術サービスです。施工不具合や補修すべき劣化事象の有無をプロに診てもらえる。

後悔しないために、信頼できるホームインスペクション業者を選ぶポイント

信頼できるホームインスペクション業者を選ぶポイント

住宅購入などの際に依頼するホームインスペクション業者は、どこに依頼するかという点が非常に大事です。信頼できる業者選びに欠かせない重要なポイント3点を紹介します。業者選びに際しては、建築士(できれば一級建築士)の資格を持っているか、既存住宅状況調査技術者の講習を修了しているかといった最低限の資格要件は確認すべきですが、その上で以下の3点は必ず確認してください。

  • 第三者性
  • 調査内容と報告書のサンプル
  • 実績・ノウハウ

これら3点について少し詳しく説明します。

第三者性が超重要(利害関係が無いことを確認すべき)

ホームインスペクションは、建物の施工状態や劣化状態の客観的な情報を得て、住宅購入などに活用するためのサービスです。客観的な情報を得るためには、その取引(売買や建築など)に関して利害関係のある立場の人にインスペクションをしてもらうと、事実を隠蔽されることや印象を操作することがありえます。

見つかった症状が重大な問題であるにも関わらず、「よくあることで、大した問題ではないので心配しなくていいですよ」とのニュアンスを伝えられると、気にしなくなりますよね。でも、本当は早期の補修などが必要な大事なことであれば、問題です。

また、どこまでを利害関係者と考えるか、どこからが第三者性があると考えるかも大事なテーマです。

  • 売買を仲介する不動産会社の社員が行うインスペクションは?
  • その不動産会社の提携先が行うインスペクションは?
  • その不動産会社が紹介だけするインスペクションは?

利害関係、第三者性は微妙なところもありますが、できれば、これらのいずれにも該当しないホームインスペクション業者を自分で見つけて、自分で依頼することをおすすめします。今はインターネットで簡単に探せるので、悩む必要はないでしょう。

調査内容が明確で報告書のサンプルが公開されていること

ホームインスペクション業者によって、調査範囲・内容が異なることがあります。また、調査後に提出される調査報告書(レポート)の質・量には大きな違いがあります。これらは、重要な情報から細かな情報まで、依頼者が適切に把握するために大事なことです。

大事な項目なのに調査範囲に入っていなかったり、調査報告書に記載されなかったりすることがあるため、依頼する前に、調査内容と調査報告書のサンプルがホームページで公開されているか確認してください。そして、複数の業者で比較してみましょう。

これらを公開していない業者は、何かを調査するか、どういったレポートが提出されるかわからず、本当に役立つかどうか判断しづらいですから、注意すべきでしょう。

実績・ノウハウが十分なこと

ホームインスペクション業者を選ぶとき、第三者性や調査内容・報告書と同じく、非常に重要なことがもう1つあります。それが、実績とノウハウです。

ノウハウは、実績や経験を積み重ねていってこそ、良いものを構築できるものなのは言うまでもありません。その実績・ノウハウを活かした調査マニュアルやチェックリストなどを整備し、ホームインスペクターのメンバー間での情報交換・勉強会などを通して、スキルアップ・情報のアップデートを続けていくことを実行できてこそ、ノウハウがある業者です。

こういった組織、仕組みを構築しているかどうかは、業者選びの大事な要素です。

まとめ:意味が無いと片づけて後悔しないために

ここまで、ホームインスペクションの基礎知識やなぜ注目されているか、意味が無いと言う不動産会社・工務店の本音、依頼せずに後悔した人の事例、業者選びの3つのポイントを紹介してきましたが、いかがでしょうか。

不動産会社などから「インスペクションなって意味が無いですよ」と言われて、簡単に信じてしまい、不要だと片づけて後悔することのないように、よく考えてから利用するかどうか検討しましょう。

利害関係者の言うことだけで判断するよりも、インターネットで客観的な情報を探してみるとよいでしょう。

執筆者

アネスト
アネスト執筆担当
住宅購入や新築、リフォーム時のホームインスペクション(住宅診断)を行うアネストが執筆、監修している。
アネストのホームインスペクション

全国で第三者の一級建築士がホームインスペクション(住宅診断)を行うアネスト。新築・中古住宅の購入時やメンテナンス時などに建物の施工ミスや劣化事象の有無を調査することができる。