ホームインスペクションの診断手法(4)傾斜測定
ホームインスペクション(住宅診断)の診断方法を解説するシリーズの第4弾です。建築の専門家がどのような手法で住宅を診断(インスペクション)していくのか、写真付きで解説しています。
今回の第4弾は、傾斜測定です。床や壁の傾きがないかどうかを調査することは大事ですが、傾きを確認するには目視や触診、歩行感触といったものも取り入れつつ、やはりメーンとなるのは機材を用いた傾斜の測定です。
上の写真は、レーザーを利用して傾斜の有無を確認しているものです。水平方向と垂直方向の両方を測定することができます。部屋のコーナー部分にレーザーをあてるとわかりやすいですね。実際にはメジャーも同時利用して傾斜がどの程度であるか測定し、数値を確認していきます。
各居室などで測定していくのですが、中古住宅の場合は居住者の家具や荷物などがあって、レーザーで測定しづらいこともあります。そういったときなどには、以下のような水準器(水平器)を利用することもあります。
レーザーで計測するときには、測定するためにある程度の距離を要しますので、部屋の広さ・形状・家具の配置などの条件によっては計測しづらいこともあります。そういったときには、水準器を活用して計測していくことも大事です。
また、レーザーでは長い距離で測定するために、部分的な傾斜はわかりづらいという特性もあるため、触診や歩行感触などで部分的な傾きが疑われるときには水準器の方が便利なこともあります。
ホームインスペクションを行う担当者(ホームインスペクター)は、その場の状況・条件などに応じて、これらの機材を利用し、傾斜の有無や傾斜がある場合の数値を確認していくのです。
水準器を軽く考える人もいますが、気になる点を機動的に素早く把握できるため、これを上手く活用する方がいいですね。また、ホームセンターなどで安価(数千円)で入手できますし、使用方法も簡単なものですから、自宅の床や傾きが気になる人は試してみてもよいのではないでしょうか。
最近はスマートフォンのアプリでも水平器がありますから、精度はともかくとして試しても面白いですね。誰でも気軽にできる簡易ホームインスペクションと言えるのではないでしょうか。
専門家による傾斜測定は、中古住宅だけではなく、新築住宅でも行います。完成状態における施工品質のチェックに利用されることもありますし、建築途中に柱などの傾きがないか確認するときにも行います。
最近の新築一戸建て住宅においては、完成状態では室内に柱が露出していないプランも多いですから、柱の傾きを直接的に確認するには建築途中でないとできないこともあります(完成状態でも壁を測定することで、柱の傾きが疑われることはある)。