新築住宅の基礎配筋工事の立会い検査(検査項目と注意点)

新築住宅の基礎配筋工事の立会い検査(検査項目と注意点)

住宅の新築工事に際して、建築の途中で住宅検査すべき工程はいくつもありますが、そのうちの1つである基礎配筋工事における立会い検査の項目とその注意点について解説します。第三者のホームインスペクションで一般的に確認される項目をあげています。

基礎配筋の検査内容

基礎配筋工事とは、建物の基礎部分を構成する鉄筋を配置する施工のことを指しています。そして、基礎配筋工事の検査とは、配置図や平面図、立面図を見て建物全体の形状を頭に入れておきつつ、基礎詳細図・基礎伏図・仕様書などを見て現地の施工状況と図面の照合を行うこと、及び施工品質のチェックを行うことです。

鉄筋の配置・使用材料・鉄筋間のピッチ

基礎の鉄筋が配置されている位置、使用されている鉄筋の仕様(径など)、鉄筋と鉄筋の間隔(ピッチ)が設計図書(契約対象の図面)と一致しているか確認していきます。鉄筋の配置ミス(基礎立上りの位置が異なるという大問題が発見されたこともある)という大きなミスが指摘にあがることもありますが、このなかでよく指摘にあるのは鉄筋の間隔(ピッチ)です。

基礎の底の部分(底盤・耐圧版ともいう)では、200mmの間隔で施工されることが多いですが、住宅によってはこれと異なる設計となっていることもあるため、都度、図面で確認する必要があります。図面をきちんと確認せずに、現場サイドが普段通りの200mm間隔で基礎底盤全体を施工していた事例があったり、一部のみ施工の粗さから間隔が開きすぎていたりすることがあります。

配筋を東西南北の各々の方向からしっかり眺めると、一部の鉄筋が湾曲していることがあり、その場合、一部で間隔が不足しているケースがあるので、メジャーで計測しなければなりません。

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配筋の継手の位置や長さ、定着長さ

基礎の鉄筋は1本だけで構成しているわけではありません。多くの鉄筋を継いでいくのですが、その継ぎ目にあたる部分は鉄筋と鉄筋が重なるように施工しなければなりません。この部分のことを継手といいます。

基礎配筋の継手のインスペクション

この継手部分の長さは、設計図書で確認しますが、ここでは40dとします。40dというのは、鉄筋の径が13mmだとすれば、継手長さは520mm(=40×13)という意味です。継ぎ目の鉄筋が520mm以上の長さで重なっているのか検査するわけです。

また、基礎の角の部分では、水平方向の主筋が角の部分で折られるようにして角をくるむように施工されます。この角の部分の鉄筋も重ねる必要があり、この長さのことを定着長さと言います。これも40dで鉄筋の径が13mmならば、やはり520mmの定着長さが必要だということになります。

継手長さの確認

定着部分は基礎の水平方向の角だけではなく、立上りと底盤部分(つまり垂直方向の角)も同様です。

基礎のかぶり厚さとスペーサー

基礎のかぶり厚さと聞いてもわかりづらいでしょう。基礎は配筋工事が終わればコンクリートを打設しますが、そのコンクリートの表面と基礎内部にある鉄筋までに40mm~60mm程度の距離があります(数値は物件による)。この部分をかぶり厚さと言います。

このかぶり厚さは、基礎立上りの土に接する部分においては40mm以上であり、底盤の土に接する部分においては60mm以上とします。コンクリートを打設する際に、このかぶり厚さをきちんと確保するために現場で使用される道具がスペーサーというものです。

基礎のかぶり厚のインスペクション

これを配筋のところで適切に設置しておくことで、コンクリート打設時にかぶり厚さを確保できるようになるのです。スペーサーは立上り部分にも底盤の配筋の下側部分にも利用されているはずです。配筋検査時には、このスペーサーが適切に利用されているか確認しなければなりません。

基礎の開口部・貫通部と補強筋

基礎は出来上がりの状態を見ても、意外と開口部分があるものです。床下点検用に人が移動するために開口部(人通口)を設けたり、配管を通すためのスリーブという貫通部を設けたりするものです。この開口部・貫通部の大きさによっては補強筋を入れて補強しておかなければ強度上の心配が生じることもあります。

但し、設計者の判断によっては補強筋を不要としている住宅もあり、ローコスト住宅などでは補強筋が施工されない仕様の現場も見られます。ローコストの建売では、設計者の判断というよりも事実上、会社の判断ですね。

検査では、仕様通りに補強筋があることを確認しましょう。

ちなみに、建売業者によっては社内でこの辺りのことについて明確な基準を持っていないこともあり、図面などの書面でも曖昧で、下請けの鉄筋業者に任せてしまっていることもあります。鉄筋業者の経験や判断次第で補強筋がないということもあるため、できれば契約前にこういった仕様についても確認しておきたいところですね。

アンカーボルトの位置・固定状況

基礎工事が完了すれば、その後は土台や柱が設置されているわけですが、土台などと基礎をしっかりとつなぎ、固定する大事な役割を担うのがアンカーボルトです。このアンカーボルトの施工に問題があるケースが散見されており、そのままコンクリート打設、土台の設置と進んでしまうと補修等の対応が難しくなってきます。

アンカーボルトのインスペクション

何よりも、アンカーボルトが設計図書通りの位置に確実に配置されているか確認しなければなりません。その上で、埋め込み状態や固定状態も検査していきます。固定状態に問題があれば、コンクリートを打設したときにずれたり、傾いたりすることになり、その後の対応で困ることもあります。

基礎配筋工事の際のその他の検査項目

基礎配筋工事の検査だからといって鉄筋のみを確認するわけではありません。どの工程における検査でも同じですが、現場の管理・清掃状態もチェックしておくべきです。

たとえば、底盤部分の配筋の下側に不要な石やごみなどの異物が残っていることがあります。このままコンクリートを打設してしまえば、コンクリートに交じってしまうことになりますから、打設する前に全て取り除いておく必要があります。

また、底盤部分の配筋の下側には防湿シートが敷かれていますが、このシートが破れてしまっていることもよくあります。補修テープで対応する必要がありますね。第三者の専門家が建築中の検査(ホームインスペクション)をするときに、チェックするポイントをあげてみました。次回は基礎工事以降の工程におけるホームインスペクションも解説します。

執筆者

アネスト
アネスト執筆担当
住宅購入や新築、リフォーム時のホームインスペクション(住宅診断)を行うアネストが執筆、監修している。

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