ホームインスペクションを売主に拒否される理由

ホームインスペクション

自分で所有しているマイホームなら、所有者が希望するタイミングでいつでもホームインスペクション(住宅診断)を実施することができますが、これから購入しようと考えている住宅に対して、購入する前にインスペクションをするには、売主の許可(承諾)が必要です。

まだ、所有していない物件ですから、勝手に建物を検査することはできないわけであり、許可が必要となるのは当然です。

しかし、新築でも中古物件でも購入前にホームインスペクションを利用したいと考えた買主が、売主に対してホームインスペクションを受け入れて頂くよう要望したとき、稀に拒否されることがあります。稀ではあるのですが、誰でも遭遇する可能性があるものです。

そこで、売主がホームインスペクションを拒否する理由として、どのようなことがあるのか説明します。

ホームインスペクションを理解しよう

ホームインスペクションは、住宅の建物部分を対象として、建物調査の専門家であるホームインスペクターが、施工ミスや建物構造・性能に影響与える可能性がある劣化症状の有無を調査する建築系の専門的サービスです。

最も多く利用される機会は、住宅を購入するときの売買契約前や引き渡し前のタイミングですが、リフォームするときは自宅の点検・メンテナンスのために利用されることもあり、利用目的は広がりを見せています。

今回の記事では、最もよく利用される住宅を購入するときのホームインスペクションについて書いています。

ホームインスペクションを売主が拒否する理由

売主がホームインスペクションを拒否する理由として、よくあるものは、以下の8つです。

  1. 建物に自信があるから必要ない(新築住宅の場合)
  2. 建築確認申請や瑕疵保険等の検査を受けているから問題ない(新築住宅の場合)
  3. 検査するなんて失礼だ(新築住宅の場合)
  4. 問題が見つかって補修するのが嫌だ(新築および中古住宅の場合)
  5. 問題が見つかって購入中止になると嫌だ(新築および中古住宅の場合)
  6. 問題があることがわかっているので、ばれたら困る(新築および中古住宅の場合)
  7. 売主との関係が心配だ(仲介業者の場合)(新築住宅の場合)
  8. 売主に買主をコントロールできない人だと思われる(仲介業者の場合)(新築住宅の場合)

これらは、売主が拒否する理由の一例ですが、いろいろあるものですね。これらについて補足説明をしていきます。

建物に自信があるから必要ない(新築住宅の場合)

1の「建物に自信があるから必要ない」はおかしな考えで、本当に自信があるならば堂々とインスペクションを受け入れて安心感を提供すればよいはずですね。これを理由にあげる不動産会社や建築業者は、徐々に減ってきています。

建築確認申請や瑕疵保険等の検査を受けているから問題ない(新築住宅の場合)

2の「建築確認申請や瑕疵保険等の検査を受けているから問題ない」を理由にあげるケースも少なくないですが、それが事実ならば今のように欠陥住宅問題が多い事実を説明できません。そういった検査が機能していないから欠陥問題がいつまでも無くならないのです。

こういう理由をあげる方の本音は4以降にあるか、それらの検査が適切に機能していないことを知らない無知であるかのいずれかでしょう。

検査するなんて失礼だ(新築住宅の場合)

3の「検査するなんて失礼だ」は論外ですね。高額な商品を買って頂くわけですから、気を遣うべきは買主ではなく、売主であるべきでしょう。勘違いでは済まされない話ではないでしょうか。

問題が見つかって補修するのが嫌だ(新築および中古住宅の場合)

4の「問題が見つかって補修するのが嫌だ」や5の「問題が見つかって購入中止になると嫌だ」というのは、売主の勝手な考えです。もちろん、6の「問題があることがわかっているので、ばれたら困る」はひどいものですね。実際にこういうケースもあるので注意が必要です。

売主との関係が心配だ(仲介業者の場合)(新築住宅の場合)

実は7の「売主との関係が心配だ(仲介業者の場合)」や8の「売主に買主をコントロールできない人だと思われる(仲介業者の場合)」のように仲介業者が絡む取引のときにホームインスペクションを拒否することが見られやすいです。

新築でも中古でもそうですが、売主との直接取引ではなく、不動産仲介業者を介する取引である場合、売主が断っているわけでもないのに、「売主が拒否していて許可を得られません」と買主へ虚偽の報告をするケースもあります。これは、その仲介業者が「問題が見つかって購入中止になると嫌だ」と考えているからですね。

また、仲介業者はその物件を他の仲介業者が先に売ってしまうことをリスクだと考えているため、売主が拒否していることにして、契約を急がせようと考えることもあります。上記理由よりこちらの方が多いかもしれません。

ホームインスペクションを入れている間に売れてしまう可能性は、確かに買主によってもリスクと言えます。できれば、購入申し込みをして契約日を決めてから、その契約日の前までに実施する方が買主にとっても安心感があります。

ホームインスペクションを拒否する理由を見ていくと、いずれにしても買主が容易に納得できるものはなく、許容しがたい理由ばかりです。拒否されたという事実も住宅の購入判断の重要な材料の1つとして考えなければなりません。

新築建売のホームインスペクション

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第三者の一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)は、住宅売買・メンテナンスなどに役立つ専門的な技術サービスです。施工不具合や補修すべき劣化事象の有無をプロに診てもらえる。

執筆者

アネスト
アネスト執筆担当
住宅購入や新築、リフォーム時のホームインスペクション(住宅診断)を行うアネストが執筆、監修している。
アネストのホームインスペクション

全国で第三者の一級建築士がホームインスペクション(住宅診断)を行うアネスト。新築・中古住宅の購入時やメンテナンス時などに建物の施工ミスや劣化事象の有無を調査することができる。