住宅ローン控除を受けるための耐震診断と既存住宅瑕疵保険

マイホームを購入するとき、金融機関から融資を受けて(住宅ローンを利用して)住宅を購入する方は多いですね。住宅ローンを利用して住宅を買うことで、住宅借入金等特別控除を受けられます。いわゆる住宅ローン控除住宅ローン減税と呼ばれているものです。

住宅ローン控除と耐震診断、瑕疵保険

どのような住宅でも、またどのような人でも対象となるわけではなく、条件があります。

  1. 主として居住用であること。但し、店舗併用の場合は床面積の1/2以上が居住用であること
  2. 床面積が50平米以上であること
  3. 中古住宅の場合、築後20年以内(耐火建築物は25年以内)又は地震に対する対策など安全上の基準が満たされていると認定されたもの(耐震基準適合証明書が必要)
  4. 住宅の取得後6カ月以内に入居し住宅ローン控除を受ける年の年末まで継続して居住していること
  5. 借入期間を10年以上とした住宅ローンであること
  6. 住宅ローン控除を受ける年の合計所得が3,000万円を超えないこと

上記のうち3つ目にある「中古住宅の場合、築後20年以内(耐火建築物は25年以内)又は地震に対する対策など安全上の基準が満たされていると認定されたもの(耐震基準適合証明書が必要)」という条件があるため、築年数が古い中古住宅では住宅の取得前に対応が必要となります。

耐火建築物かどうかは、多くの場合、木造住宅かどうかで判断できます(必ずではありません)。木造住宅であれば築後20年以内、鉄骨造や鉄筋コンクリート造であれば25年以内の物件は問題なくこの条件をクリアします。

しかし、この築年数を超えている物件であれば、耐震基準適合証明書が必要となります。この耐震基準適合証明書は耐震診断を実施して、基準に適合している場合にのみ発行される書面ですから、不適合と判定されれば残念ながら住宅ローン控除の対象外となってしまいます。

築25年を超える鉄骨造で耐震診断を行って基準に適合していると判定されることはほとんどなく(そもそも鉄骨造で耐震診断をする会社がほとんどない)、築20年を超える木造でも図面不足のために耐震診断を行っても不適合となる可能性が高いです(筋交い等の構造部を確認できる図面があれば適合の可能性がある)。

住宅ローン控除を受けたいけれど、まともに耐震診断を出来ないがために、この条件を満たさないという住宅は多く、困っている人は少なくありません。そこで、耐震診断に代わるもう1つの方法として既存住宅かし保険があります。

現場検査

既存住宅かし保険に加入することで取得できる付保証明書があれば、この3つ目の条件をクリアすることができるのです。このことは、まだご存じない不動産業者も多く、耐震診断を出来ない時点で諦めている人も多いようです。

ただ、この保険にも現場検査があり、保険に加入するための基準に適合していなければいけませんので、実はこちらも簡単ではありません。ホームインスペクションを長くしてきたアネストでは、耐震診断も既存住宅かし保険もいずれも取り扱っておりますが、この保険に加入できない物件も多いです。

もちろん、耐震診断を十分に実施できない物件で既存住宅かし保険に加入できた物件の事例もいくつもありますから、検討するだけの価値は十分にあると言えるでしょう。

執筆者:荒井康矩(ホームインスペクションのアネスト

 

 

執筆者

アネスト
アネスト執筆担当
住宅購入や新築、リフォーム時のホームインスペクション(住宅診断)を行うアネストが執筆、監修している。