新築住宅の内覧会(竣工検査)立会いサービスとは?費用相場とタイミング

内覧会(竣工検査)立会いサービス

新築住宅を購入した人には、その物件の引き渡し前のタイミングで、建物をチェックする内覧会という機会があります。このときに売主またはハウスメーカーに対して、補修すべき事項を指摘して対応を求めるのです。

この内覧会には、建物の専門家である建築士に立会い依頼する人も多いですが、はじめて依頼することだけにわからないことも多いものです。そこで、新築住宅の内覧会に建築士などの専門家に立会い依頼するか考えている人向けに、竣工検査としての内覧会の基本情報と、内覧会立会いサービスの基礎知識、費用、依頼するときのタイミングなどを解説します。

新築住宅を買う人や既に契約済みで引き渡し前の人に役立つ内容なので、まだ内覧会立会いサービスについて真剣に考えていない人が読んでもよく立ちます。

内覧会の基本情報。そもそも内覧会って何か?

この記事の冒頭で、「引き渡し前のタイミングで、建物をチェックする内覧会という機会があります」と書きましたが、この内覧会が何であるか、きちんと理解できていない人も少なくありません。出来上がった住宅の軽く見学するくらいに考えている人もいれば、カーテンや家具の設置のための採寸をする機会や、傷チェックをするタイミングと考えている人もいます。

でも、内覧会とは、もっともっと大事な意義がある機会ですので、ここで基本的なことを紹介しておきます。

内覧会には竣工検査の意味がある

内覧会は買主向け(注文建築なら施主向け)のお披露目会のような意義もありますが、実は、建物の竣工検査という大事な意味もあります。

竣工検査とは、その名称のとおり、竣工(=完成)した建物を検査することです。契約通りに建てられているか、欠陥工事をしていないかといったことを確認する検査です。

引き渡し前の最終チェックだけに重要

竣工検査としての内覧会は、住宅の引き渡しをする前に行うことが一般的で、引き渡し日の1~2週間前に行うことが多いです。つまり、建物完成後、引き渡し前に建物の施工状態を確認できる最後の機会です。最終チェックと聞けば、その重要性も理解しやすいでしょう。

施工ミスの補修対応を要求できる

もし、この内覧会で施工ミスなどを見つけた場合、建築会社(または売主)にそれを指摘して補修などの対応を要求することになります。施工ミスは、建築会社に責任があることですから、建築会社の負担で補修などの対応をすることになります。

施工ミスの補修を求めた後、その補修後(是正後)にもきちんと補修されたか再確認するようにしましょう。補修が酷くて再補修すべきときもあるからです。

内覧会の問題点

竣工検査としての内覧会には、1つ大きな問題点があります。それは、適切な対応をするためには、建築に関わる専門的な知識や経験が必要だという点です。

多くの住宅購入者には、そのような専門知識や経験がありませんので、自分だけで対応することは難しいのです。難しいけども、ここで指摘して補修対応してもらわないと、後で問題が発覚したときには被害が大きくなっているリスクがあります。

新築建売のホームインスペクション

ホームインスペクションの依頼なら

第三者の一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)は、住宅売買・メンテナンスなどに役立つ専門的な技術サービスです。施工不具合や補修すべき劣化事象の有無をプロに診てもらえる。

内覧会立会いサービスとは?

2000年以降、徐々に普及してきた専門家による内覧会立会いサービス(内覧会同行サービスとも呼ばれている)について解説します。今では、新築住宅を購入する人のうち、多くの割合の人が利用するまで普及しているので、聞いたことがある人も多いでしょう。

プロが買主の代わりに建物チェック

内覧会立会いサービスとは、住宅購入者自身では対応が難しい建物の施工ミスの有無の確認作業について、購入者からの依頼に基づき、購入者の代わりに、または購入者と一緒に行うサービスです。

内覧会で住宅購入者がすべきことには、大きく分けて以下の2つがあります。

  • 施工ミスの有無の確認
  • 図面・仕様どおりかの確認

このうち、施工ミスの有無の確認について、第三者のプロ(専門家)に依頼するもので、このサービスのことをホームインスペクションと呼ぶことも一般化しつつあります。図面・仕様どおりかの確認については、原則、自分自身ですることになります。

建築士が対応

内覧会立会いを行っている専門家の多くは、建築士の資格を持つ人です。ただし、資格だけで簡単にできる仕事ではないため、住宅の設計や監理、工事管理などの経験を持つ建築士が対応していることが一般的です。

しかし、一部では住宅に関わる経験がほとんどない建築士や、建築士の資格を持っていない人もいるので、依頼するときには注意が必要です。

ちなみに、2003年から内覧会立会い・同行サービスを提供しているアネストでは、必ず、一級建築士が担当しています。より、安心感が高まりますね。

新築一戸建てもマンションも対応

多くの内覧会立会い業者は、一戸建て(建売住宅・注文建築の家)にもマンションにも対応しています。

利用される頻度はマンションよりも一戸建ての方が多いですが、その理由は、マンションよりも一戸建ての方がより専門的な部分までチェックしてもらえることが挙げられます。

分譲マンションの内覧会では、室内の仕上げや設備の確認をしていますが、一戸建てにおいては、それだけではなく、構造躯体や断熱材の確認もできることから、依頼者にとって利用価値が高いのです。ただし、構造躯体などを確認できるとは言っても、建物を透けて診るわけではないですから、確認できる範囲が限られることも理解しておきましょう。

内覧会立会いサービスの費用相場

内覧会立会い・同行サービスを依頼すると、どれくらいの費用がかかるのか気になりますよね。凡その費用相場を紹介しておきます。立会い業者への依頼料金(=費用)は、一戸建てとマンションで違いありますので、分けて紹介します。

一戸建て

サービス費用の相場
基本料金5~7万円
床下の調査1.5~3.5万円
屋根裏の調査1.5~3.5万円
詳細な報告書0~1万円

マンション

サービス費用の相場
基本料金4~6万円


費用相場を見る限り、一戸建てに比べてマンションの方が安く設定されています。これは、一戸建て住宅の方が建物チェックに係る時間が長いことと、マンションの方が簡単でそれほど高い技術レベルを求められないことが理由です。

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内覧会(竣工検査)立会いサービスを利用するタイミング

最後に、住宅購入者が第三者の専門家に内覧会(竣工検査でもある)への立会い依頼をするときのタイミングについて、内覧会の前後の流れとともに紹介します。

内覧会の前後の流れは以下のとおりです。

  1. 売買契約(注文建築なら工事請負契約)を締結
  2. 建物が完成
  3. 建築会社の自社検査
  4. 補修工事(是正工事)
  5. 内覧会(購入者向けの竣工検査)
  6. 補修工事(是正工事)
  7. 補修後の確認(再内覧会)
  8. 住宅の引き渡し

この流れを見てわかるように、購入者による内覧会(竣工検査)の前には、建築会社による自社検査(社内検査とも言う)があるのですが、これを怠っている会社も少なくありません。また、実施していても形式的で細部まで確認していないことや、補修対応を渋るなどしてそのまま放置している事例もあります。

本来ならば、建築会社の自社検査を終えてから購入者向けに内覧会が実施される流れで、そのときに専門家に立会いしてもらうことになります。内覧会は、建物完成後・引き渡し前のタイミングで行うため、専門家の立会いも引渡し前です。

一部では、第三者の立会いを入れると売主や建築会社へ連絡すると、内覧会の日よりも前に実施するように求められることもあります。建物が完成しているのであれば、その流れになっても問題はないでしょう。

今では、内覧会立会い、または内覧会同行サービスのことをホームインスペクションと呼ぶことも多くなりましたが、いずれにしても完成状態で施工ミスの有無を確認する目的で行うものです。入居してから、後悔しないためにも、利用を検討してはいかがでしょうか。

執筆者

アネスト
アネスト執筆担当
住宅購入や新築、リフォーム時のホームインスペクション(住宅診断)を行うアネストが執筆、監修している。