ホームインスペクションの診断手法(3)打診
ホームインスペクション(住宅診断)の診断方法を解説するシリーズの第3弾です。建築の専門家がどのような手法で住宅を診断(インスペクション)していくのか、写真付きで解説します。
第3弾は、打診です。打って診断すると書きますが、イメージとしては壁などをトントンと叩いて(打って)、その音や感触から診断していくものです。打診調査では、一般的には打診棒を使用して行いますが、調査箇所によっては手で打診することもありえます。
上の写真は基礎コンクリートを建物外部から打診調査しているところです。打診とは「トントンと叩く」と述べまたものの、実務では少し異なります。基礎でも外壁(下の写真)でもそうですが、打診棒で叩くと表面の仕上げ材が傷ついてしまうことがあるため、叩くというよりは仕上げ材の表面を転がすようなイメージです。
コロコロと打診棒で転がすように調査していきます。これにより確認できる症状は、基礎モルタルや外壁塗装、タイルなどの浮きの有無です。仕上げ材が浮いていると音が異なるのです。
仕上げ材に浮きがあり、それをそのまま放置しておくといずれ割れてくる可能性があります。割れれば見栄えの問題もありますが、その割れから雨水が浸入してしまい、周囲の仕上げ材のさらなる浮きを生じさせてしまいます。
どんどん劣化が進んでいくことがあるため、早めに補修しておくとよいでしょう。
基礎や外壁でも打診棒で調査していくことで、問題が見つかることがありますが、最も多く症状が見つかるのはタイル仕上げになっている個所です。例えば、玄関ポーチや玄関の土間部分にはタイルが使用されていることが多いですが、このタイルに浮きが確認される確率は高いです。
上の写真は玄関の土間のタイルです。
そして、こちらが玄関ポーチのタイルで、新築住宅における打診調査の様子です。
こういった玄関やポーチの床タイルに浮きが確認された場合、補修しておかなければ、早期に割れてしまうことがあります。毎日、何度も人が通るところだけに何かを落として割れるといったことがあるのです(人が歩くだけで割れることはあまりないでしょう)。
中古住宅を購入するときにタイルの浮きがあれば、リフォーム時に交換する人も多いです。しかし、新築住宅でもこのような浮きが見つかることはよくあり、売主や建築会社に補修を求めても応じないケースが散見されます。
タイルが既に割れておれば、新築の売主等は交換や補修に応じるものの、浮いているので割れるリスクがあるということに対しては応じない業者も少なくないということです。
この場合、この事実を記録として残しておき、割れたときには無償で補修等に応じて頂くことを約束しておくとよいでしょう。
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