新築住宅を建築中のホームインスペクション(住宅検査)の事例 No9
ホームインスペクションといえば、新築完成物件や中古住宅(既存住宅)の診断をイメージする人が多いですが、建築中の建物に対してもインスペクションを行うことがあります。第三者として建築途中の現場へ入り、図面通りの仕様となっているか、施工品質に問題はないかを主に目視で検査していくものです。
アネストでは、このサービスを住宅あんしん工程検査(建築中の住宅検査)サービスと呼んでいます。
建築中のホームインスペクション(住宅検査)は、完成してからでは確認できない点までも検査できることが最大の利点であり、インスペクションのなかでも最も安心感が大きいものだと言えます。但し完成物件や中古住宅が1度のみの診断であるのと異なり、建築中に何度も検査を行うことが一般的です。つまり、それだけ費用がかかるということでもあります。
それだけの効果が得られるものですから、利用を積極的に検討してほしいところです。
今回の事例の対象物件は、木造軸組工法2階建ての住宅で、全11回の検査をご利用です。事例では、第6回目の検査で、主に防水シートの施工に対する検査です。但し、住宅あんしん工程検査(建築中の住宅検査)サービスでは、検査に現場へ伺った際に確認できることは全て検査します(状況によって異なることもある)ので、今回も様々な項目のチェックをしています。
○基礎パッキン工法
基礎コンクリートの上には土台が設置されていますが、このコンクリートと土台の間には基礎パッキンが設置されています。下の写真の黒い部分が基礎パッキンです。
この基礎パッキンは、床下の換気を行うためのもので、ここから換気ができるようになっています。以前の住宅では基礎コンクリートに長方形の穴(換気口)があり、そこから換気していたのですが、基礎パッキン工法ならば基礎コンクリートに穴をあける必要がないこともあり、今どきの住宅はこちらを採用することが多いです。
建物周囲すべてにこの基礎パッキンが設置されているのですが、周囲すべてを確認して問題ありませんでした。
○外壁面の防水シート
以下の写真は外壁面の防水シートの一部のアップです。
一部の防水シートがまだ固定されていませんでしたが、防水シートの重ね部分は適切に10cmとなっていることを検査していきました。また、シートは必ず上側のものが外になるように施工しなければなりません。これが逆になると雨水が建物内部側へ侵入しやすくなりますので、注意して検査したい項目です。
写真を見ると点線が入っているのがわかりますが、この位置を重ねることで必要な重ね代(10cm)を確保することができます。シートによっては、点線ではない別のマークになっていることもあります。
外壁面から配管が2本、出てきますね。こういった配管の貫通部分は非常に雨漏りが生じやすい箇所ですから、防水テープが隙間なく貼られていることをチェックしていきました。
上の写真で防水シートがよれているのがわかるでしょうか。この時点ではまだ大丈夫なのですが、外壁材を施工する際に丁寧にしないと破れてしまう可能性もあるため、丁寧な施工をお願いすることになります。
○バルコニーのFRP防水
バルコニーにはFRP防水が施工されていますが、仕上がり具合はよく問題ありません。写真は水平器でバルコニー床の勾配が適切なものであるか計測しているところです。雨水などが排水溝へ流れるように1/50以上の勾配をつける必要があり、この住宅では問題なく施工されていました。
○根太レス工法の床材
根太の上に床材を施工する工法ではなく、根太レス工法の住宅でした。この場合、床材には構造材として厚みや釘のピッチの確認が必要となります。
一部で釘のピッチに不足がありましたが、その他は問題ない施工でした。
これらのほかにも床材の水平や壁材の垂直精度を計測して確認したり、配管の固定状況や勾配の確認もしたりしています。
今回の住宅は軽微な指摘があったものの、すぐに対処できるものばかりで大きな不安材料はありませんでした。外壁面の防水シートの施工状況は、外壁材が施工されてしまうと確認できないうえ、雨漏りが生じると建物の寿命を縮めてしまうことから、アネストの住宅あんしん工程検査(建築中の住宅検査)サービスのなかでも重要な検査内容です。
建築の途中から依頼される人も多いですが、できればこの検査はご利用頂いた方がよいでしょう。
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