築40年超の木造一戸建てのホームインスペクションの事例 No13
住宅コンサルティングのアネストが行ったホームインスペクション(住宅診断)の現場から、実際にあった指摘事例やアドバイスなどを見て、住宅の購入やリフォーム・補修などに活用して頂くレポートの第13弾で、今回のレポートの対象物件は、木造軸組工法2階建ての住宅です。
建物は築40年を超えるものであり、当然ながら劣化が進行しているはずですが、このインスペクション結果を見ていきましょう。
床下と屋根裏のホームインスペクション
建物を診断するとき、やはり主要な構造に関わる部分が最も心配されることです。今回の対象物件では、築年数が40年超と古いものだけに、主要な構造部分を直接確認できる床下や屋根裏の調査の重要性が高いと言えます。
床下のホームインスペクションができない
重要な床下のインスペクションですが、今回の住宅では床下を確認できるような点検口や床下収納庫がありません。現状のままでは、床下の基礎や土台などを確認することができませんでした。
購入後に、早いタイミングで点検口を設けて確認する必要性があります。ただ、できれば購入前に見ておきたい範囲ですから、不動産会社を介して購入前に点検口の開口と調査を要望してもよいでしょう。購入前には売主に断られることが多いですが、買主が費用負担することを告げて交渉すれば、対応して頂けることもあります。
屋根裏のインスペクション結果
屋根裏は点検口から進入して確認することができました。断熱材が施工されておりませんでしたが、築年代を考慮した場合、それは仕方ないことです。この年代の住宅では、断熱材が施工されている可能性は低いものです。購入後のリフォームでは快適さやエネルギー効率の点で断熱工事のことも考えた方が、よいでしょう。
屋根裏のホームインスペクションによって、壁内の筋交いや小屋束の筋交いが無いことがわかりました。これも、この年代では無いことが多いのですが、耐震性の点で心配があります。購入するのであれば、しっかり耐震補強工事を行うことを積極的に考えた方がよいものであり、その点をアドバイスしています。
その他のインスペクション結果
建物外部からインスペクションを進めていきましたが、外部では外構であるブロック塀に基礎が無いことが確認されました。地震などの大きな揺れの際には倒壊するリスクもあることから、補強を考えた方がよいでしょう。
また、基礎や外壁の至るところでひび割れ(クラック)が確認されました。建物の内部側では雨漏りの痕などもないですが、ひび割れを放置しておくことは将来の雨漏りにつながる可能性もあります。全体的に劣化が進んでいる状況でもありましたが、補修が望ましいものでした。
床や壁において、大きな傾きはありません。下地材の劣化によると思われる部分的な傾きはあったものの、建物全体が心配されるようなものではありません。
今回のホームインスペクションのポイント
築40年超の中古住宅のホームインスペクションでしたが、今回のポイントをまとめると以下のようになります。
- 床下のインスペクションができず、大事なところで不透明である。
- 耐震性に問題を抱えている可能性が高い
この年代の中古住宅を購入する場合には、耐震性を考慮して適切な耐震補強工事をすべきものが多いです。この点を理解して古い住宅の購入を検討しましょう。